
色鮮やかな虹色の旗、レインボーフラッグは、LGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア、その他の性的指向や性自認を持つ人々)の多様性と包容性を象徴する、世界中で最も広く知られているシンボルの一つです。
街中やイベント会場などでも目にする機会が増えてきたレインボーフラッグをはじめ、セクシャルマイノリティのプライドフラッグ各色に込められた意味やメッセージ、誕生の切っ掛けや歴史などをご紹介していきます。
目次
レインボーフラッグの誕生とその歴史
レインボーフラッグは、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市の市会議員に当選し、同国で初めてゲイを公表した公職者となった、ゲイの権利活動家ハーヴェイ・ミルク氏と、ベトナム戦争の兵役経験者であり、ドラァグクイーンだったサンフランシスコの美術家、ギルバート・ベイカー氏によって、1978年に制作されました。
旗はアートがとりうる他のどのような形式とも異なり絵画でもなければ、単なる生地や商標でもなく、様々な形で役割を果たします。LGBTQ+に対する理解が世間一般に浸透していなかった当時、LGBTQ+の当事者達が、一個の国民(people)であり、一個の種族(tribe)であることを示す象徴として、国民の誰もが一目見てすぐにわかるオリジナルフラッグの必要性をミルク氏もベイカー氏も強く感じていたといわれています。
ベイカー氏たちは、サンフランシスコのゲイ・コミュニティー・センターの屋根裏部屋で、30人近くのボランティアの助けを借りながら最初に制作した、巨大なレインボー・フラッグは、1978年6月25日、サンフランシスコ・ゲイ・フリーダム・デー・パレードで披露され、サンフランシスコのダウンタウンにある、国連プラザに掲げられました。
しかし、同年の11月27日にレインボーフラッグの発案者の一人、ハーヴェイ・ミルク氏が、サンフランシスコ市長のジョージ・マスコーニ氏と共に市庁舎内で射殺されてしまいます。皮肉にも、この痛ましい事件も影響し、レインボーフラッグの存在は世間に拡散され、LGBTQ+コミュニティーのシンボルとしてはもちろん、自己愛、包摂性、多様性、抵抗、団結、受容、認識、寛容、自由、力、希望などの意味としても用いられるようになり、やがて世界中に広まっていったのです。
レインボーフラッグをはじめとした、各プライドフラッグに込められた意味
レインボーフラッグには「多様性を認め、受け入れ、共に生きる」という前向きなメッセージが込められています。
フラッグが制作された、1978年当時のLGBTQ+コミュニティは、現在よりも酷い社会的な差別や偏見に直面しており、彼らは自分たちの存在を肯定し、誇りを持って生きるためのシンボルを求めていました。
レインボーフラッグを制作した、ギルバート・ベイカー氏もLGBTQ+の当事者であり、同志たちが抱いている、想いや願いに強く共感したことで、この色鮮やかでアイコニックなプライドフラッグが誕生し、現在でも力強いメッセージを発信し続けることができているのではないでしょうか。
ここからは、LGBTQ+コミュニティのシンボルであるレインボーフラッグをはじめ、多様なセクシャルマイノリティそれぞれを象徴する、プライドフラッグに込められた意味をご紹介いたします。
ギルバート・ベイカー・プライドフラッグ
前述した、1978年にギルバート・ベイカー氏によって制作された最初のレインボーフラッグです。
古くから希望の象徴とされてきたレインボーカラーを採用したフラッグには「私たちLGBTQ+当事者の愛を祝す、前向きなフラッグを作りたかった」というベイカー氏の想いが反映されています。尚、フラッグに使用されている8色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎ギルバート・ベイカー・プライドフラッグに使用されている8色に込められている意味
- ピンク : 性
- レッド : 命
- オレンジ : 癒し
- イエロー : 太陽
- グリーン : 自然
- ターコイズ : 魔法
- ブルー : 調和
- バイオレット : 精神
1978〜1999年のプライドフラッグ
1978年11月27日に、レインボーフラッグの生みの親の一人であるハーヴェイ・ミルク氏が射殺されたことを受けて、レインボーフラッグの需要は高まり、量産されるようになります。しかし、オリジナルの8色のうち、ピンク色は当時入手が難しく、量産するフラッグの使用には適していないということを知ったギルバート・ベイカー氏は、需要に応えるためにピンク色を外した全7色に改訂しました。
レインボー・プライドフラッグ
現在、多くの組織や企業も、LGBTQ+コミュニティ全体を象徴するレインボーフラッグとして用いているのがコチラです。更なる量産の需要に応えるためにターコイズカラーも外した全6色に改訂されています。
フィラデルフィアのPeople of Color Inclusive Flag(有色人種包含を象徴)
LGBTQ+コミュニティのブラック(黒人)とブラウン(褐色の有色人種)の人々が直面している独特の困難さを象徴するフラッグとして2017年に作られました。
俳優で監督のリナ・ウェイス氏が、毎年5月の第1月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されるファッションの祭典METガラで、この色を取り入れたマントを着用して注目を集めました。
Queer People of Color Flag(有色人種のクィアを象徴するフラッグ)
アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為をきっかけに全米に広まった人種差別抗議運動Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター:BLM運動とも略される)との連携と、クィアと黒人コミュニティの共通集合にある人々の団結を象徴しているフラッグです。
“Progress”プライドフラッグ
2018年にアーティストのダニエル・クエーサー氏がクリエイトしたプライドフラッグ。フィラデルフィア版のプライドフラッグの色と、トランスジェンダープライドフラッグの色を組み合わさっています。
このプライドフラッグには、LGBTQ+コミュニティが更に前進すること、そして、まだまだ進歩していかなければいけないという思いが込められています。
レスビアンフラッグ
同性愛者の女性を指す、レズビアン・コミュニティをシンボル化するために使用される、レスビアンフラッグは1999年以降、多くのデザインが提案されアップデートを繰り返しています。
過去にはフラッグの左上角部分に、女性らしさを表現するキスマークが付いた「ラブリュス・レズビアン・フラッグ」と呼ばれるフラッグも存在しており、現在でもこのキスマークは使用される場合があります。
尚、2025年現在、最新のレスビアンフラッグに使用されている7色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎レスビアンフラッグに使用されている7色に込められている意味
- 最も暗いオレンジ : 性別の不適合(性不一致)
- 中間のオレンジ : 独立心
- 最も明るいオレンジ : コミュニティ
- ホワイト : 女性であることへの独自の関係性
- 最も明るいピンク : 平穏と平和
- 中間のピンク : 愛とセックス
- 最も暗いピンク : 女性らしさ
ゲイフラッグ
同性愛者の男性を指す、ゲイ・コミュニティをシンボル化するために使用されるゲイフラッグは、2019年7月10日に作成された固有のフラッグです。特に日本ではレインボーフラッグに統合されがちなため、目にすることは滅多にありませんが、海外では割と使用されています。
ゲイフラッグは、しばしば不自然と見なされることが多い男性同性愛は自然なことであるという主張の意味も込めて、自然をモチーフに作られています。
フラッグに使用されている、紫色は勇気、インディゴブルーは想像力や感性を豊かにする色とされており、表現・関係・生活などの多様性を表現しているといわれています。
トランスジェンダーフラッグ
自身の性別の認識が、出生時に与えられた(考えられた)性別と異なる人のことを指すトランスジェンダーを象徴する、プライドフラッグは、1999年にトランスジェンダー女性のモニカ・ヘルムズ氏によって作成されました。
青は男の子、ピンクは女の子、白は移行中の人・性別が無い人・または中立な人などを表しているとされています。
ジェンダーフルイドフラッグ
性自認、すなわち「こころの性」が一定ではなく、日々生活をしていく中で、時期や状況に応じて、複数の性の間で流動的(Fluid)に揺れ動くセクシャリティのことをジェンダーフルイドと呼びます。
自分をひとつのジェンダーに定義せず、流動的にジェンダーがシフトする、ジェンダーフルイドの当事者であるJJ・プール氏によって作成されたプライドフラッグが、ジェンダーフルイドフラッグです。
ジェンダーフルイドは、性自認が「定まっていない」ジェンダークィアに分類されがちですが、性自認が「流動・変化」するジェンダーフルイドは、正確にはジェンダークィアとは異なります。
ジェンダーフルイドフラッグの作成者であるJJ・プール氏も、当初は、自分のアイデンティティはジェンダークィアに近いけれど、完全にはフィットしていないという違和感を抱いていたということです。
後にジェンダーフルイドの存在を知ったJJ・プール氏は、自分のアイデンティティがジェンダーフルイドであるということを確信したといいます。
しかし、2012年当時はまだジェンダーフルイドを象徴するプライドフラッグが存在していなかったため、JJ・プール氏によりジェンダーフルイドフラッグが作られました。
尚、ジェンダーフルイドフラッグに使用されている5色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎ジェンダーフルイドフラッグに使用されている5色に込められている意味
- ピンク : 女性らしさ
- ホワイト : 全てのジェンダー
- パープル : 男性らしさと女性らしさ
- ブラック : ジェンダーの欠如
- ブルー : 男性らしさ
ジェンダークィアフラッグ
「第三の性」とも呼ばれているジェンダークィアは、一般的に性自認が定まっていない当事者を指す言葉といわれていますが、ジェンダークィアの当事者の数だけ、様々な考え方があることは大前提として理解しておくべきでしょう。
2011年、マリリン・ロキシー氏によって作られた、ジェンダークィアフラッグに使用されている3色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎ジェンダークィアフラッグに使用されている3色に込められている意味
- ラベンダー : アンドロジニー(両性具有)
- ホワイト : アジェンダー(ジェンダーレス)
- グリーン : ノンバイナリー(男女どちらでもない)
アジェンダーフラッグ
アジェンダー(Aジェンダー)とは、特定のジェンダーに属さない・性別を持たないという当事者のセクシャリティです。
アジェンダーフラッグは、2014年にニューヨーク出身のアーティストで、パンロマンティック・デミセクシャルのSalem X/“ska”氏によって作られました。
尚、アジェンダーフラッグに使用されている4色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎アジェンダーフラッグに使用されている4色に込められている意味
- ブラックとホワイト : ジェンダー不在
- グレー : セミ・ジェンダーレス
- グリーン : ノンバイナリー(男女どちらでもない)
ノンバイナリーフラッグ
ノンバイナリーは、身体的性に限らず、自身の性自認や表現したい性を男性、女性という2つの性の枠組みで捉えることや当てはめることが出来ず、性別を固定しない立場の当事者たちを表しているセクシャリティです。
2019年には英国の歌手サム・スミス氏が、2021年にも歌手の宇多田ヒカル氏が、それぞれノンバイナリーであることを公表したことでも話題となりました。
2014年2月にKye Rowan氏によって作成されたノンバイナリーフラッグには、4色のカラーが使用されており、各々の色には次のような意味が込められています。
◎ノンバイナリーフラッグに使用されている4色に込められている意味
- イエロー : 男性・女性という二元的ジェンダー以外のジェンダー
- ホワイト : 全て(あるいは多く)のジェンダーを自認する人々
- ブラック : アジェンダーの人々を象徴
インターセックスフラッグ
インターセックスとは、その人が持っている身体的性が、典型的な男性・女性に当てはまらない状態の当事者のことを指します。
インターセックスと一言でいっても、例えば男性と女性両性の性器を持つ人や、様々な染色体を持つ人、男性と女性の中間的な身体的特徴を持つ人など、詳しく種類別に分類すると60種類ほどに分けることができるほど多様です。
尚、インターセックスは医学的には日本語で性分化疾患といわれ、現在では英語表記の頭文字を取ったDSD(Disorder of Sex DevelopmentもしくはDifferences in Sex Development)とするのが一般的です。日本でもDSDを持つ胎児は数千人に一人という割合で生まれるといわれています。
2013年にモーガン・カーペンター氏によって作られたインターセックスフラッグに使用されている、ゴールドもしくはイエローカラーとパープルの円には、次のような意味が込められています。
◎インターセックスフラッグに使用されているゴールドもしくはイエローカラーとパープルの円に込められている意味
- ゴールドまたはイエロー:
- インターセックスの当事者である、マニ・ミッチェル氏が、インターセックスコミュニティに対して使われた“半陰陽”という中傷的な言葉を改善したというストーリーにインスパイアされています。
- パープルの円:
- パープルの円には「私たちは円のように繋がり、一体であり完全だ」という意味や、「インターセックスの当事者は自分の体を自分で決める権利がある」という主張の意味も込められています。
バイセクシャル(両性愛者)フラッグ
バイセクシャル(Bisexual)とは、日本語で「両性愛」とも表されます。一般的には『男性と女性の両方の性に対して恋愛・性的な感情を抱くセクシャリティ』と定義づけられています。
しかし、バイセクシャルにも様々なあり方が存在し、当事者のなかでも定義は異なります。例えば、自分とは異なる性別を好きになる人、好きになる性は一つのみではない人、全ての性別を好きになる人など、必ずしも男性と女性だけに限定しない人も増えています。
セクシャリティのあり方も多様になってきている近年は、バイセクシャルと一言でいっても、かなり広義的な意味合いで使われているようになってきているといえます。
尚、バイセクシャルフラッグに使用されている3色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎バイセクシャル(両性愛者)フラッグに使用されている3色に込められている意味
- ピンク(あるいはマゼンタ):
- 同性に惹かれる属性という意味
- ブルー:
- 異性に惹かれる属性という意味
- パープル(あるいはラベンダー):
- 異性と同性どちらの性にも惹かれる属性という意味
パンセクシャル(全性愛者)フラッグ
パンセクシャル(Pansexual)は日本語では「全性愛」と表現され、一般的には『性別に関係なく恋愛・性的な感情を抱くセクシャリティ』と定義づけられます。
「パン(pan)」はギリシャ語で「全て」を意味し、あらゆる性別の人に恋愛・性的な感情を抱く当事者が多いのがパンセクシャルの特徴とされています。
ただ、パンセクシャルと一言でいっても、当事者によって定義は様々だということは、念頭に置くべきです。
例えば、性別で人を判断したくないという人、性別を問わず相手の性格や考え方に魅力を感じる人、そもそも性別でカテゴライズするという概念がない人など、全てのパンセクシャル当事者を一つの定義に当てはめることは不可能だということは認識しておく必要があります。
パンセクシャルフラッグの作成者は不明ですが、2010年にインターネット上で使われるようになり、徐々に定着し、世の中に浸透していきました。
尚、パンセクシャルフラッグに使用されている3色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎パンセクシャル(全性愛者)フラッグに使用されている3色に込められている意味
- ピンク:
- 女性に惹かれる属性という意味
- ブルー:
- 男性に惹かれる属性という意味
- イエロー:
- 中性的であったり、男性・女性に該当しないジェンダーの人に惹かれる属性という意味
ポリセクシャル(多性愛者)フラッグ
ポリセクシャリティ(Polysexuality)は日本語では「多性愛」と表現され、一般的には『2種類以上(複数種類)の性別の人に恋愛・性的な感情を抱くセクシャリティ』と定義づけられます。
尚、ポリセクシャルフラッグに使用されている3色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎ポリセクシャル(多性愛者)フラッグに使用されている3色に込められている意味
- ピンク:
- 女性に惹かれる属性という意味
- グリーン:
- ノンバイナリー(性別を固定しない立場の当事者たちを表すセクシャリティ)または、ジェンダーに関する規範に従わない人に惹かれる属性という意味
- ブルー:
- 男性に惹かれる属性という意味
アセクシャル(無性愛者)フラッグ
アセクシャル(Aセクシャル)は日本語では「無性愛」と表現され、一般的には『他人に性的魅力を(ほとんど)感じず、性的欲求が(ほとんど)ないセクシャリティ』と定義づけられます。
また、アセクシャルは“グレー・アセクシャリティ”と呼ばれる小集団にも分類されます。ここに該当する人は、自分たちをグレー・エースと呼び、稀にだが、非常に関係性が密になった相手にだけ性的欲求を感じる人や、特定の状況設定でのみ性的魅力を感じる人などが含まれます。
尚、アセクシャルフラッグに使用されている4色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎アセクシャル(無性愛者)フラッグに使用されている4色に込められている意味
- ブラック:
- アセクシャリティ全体という意味
- グレー:
- グレー・アセクシャリティとデミセクシャリティ(強い感情的絆ができないと性的魅力を感じないこと)という意味
- ホワイト:
- セクシャリティという意味
- パープル:
- コミュニティという意味
アロマンティックフラッグ
アロマンティック(Aromantic)は『他人に恋愛感情をまったく、あるいはあまり抱かないセクシャリティ』と定義づけられます。
アロマンティックの当事者は、恋愛感情が理解できないというだけで、愛情そのものが欠落しているというわけではありません。
例えば、家族や友人に対して愛情を持って親切に接したり、親しみがわくことはあります。
恋愛感情がないというと、喜怒哀楽や感情に対しても共感が足りていない人という勘違いをされがちですが、決してそういうわけではなく、他人と人間関係を築くこともできるのです。
尚、アロマンティックフラッグに使用されている5色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎アロマンティックフラッグに使用されている5色に込められている意味
- グリーンとライトグリーン:
- アロマンティックスペクトラム全体という意味
- ホワイト:
- 恋愛に限定されない愛情と友情という意味
- グレーとブラック:
- 性的指向のスペクトラムの多様性という意味
デミセクシャルフラッグ
デミセクシャルは『他者に対して基本的に性的欲求を持たないが、精神的なつながりを感じる特定の相手に対してだけ、性的な欲求を抱くセクシャリティ』のことを指します。
デミセクシャルは、恋愛や性的な関係において、相手との深い絆や信頼関係、精神的なつながりなどを重視するため、初対面の人や知り合ったばかりの人に対しては、恋愛感情を抱いたり、性的な魅力を感じることはほとんどありません。
まだ世間一般的に広く知られているセクシャリティではないため、デミセクシャルは「選り好みが激しい」とか「性的な興味がない」といった誤解を受けることが多いですが、これらの誤解はデミセクシャルの真実を正確に反映していません。
尚、デミセクシャルフラッグに使用されている4色には、それぞれ次のような意味が込められています。
◎デミセクシャルフラッグに使用されている4色に込められている意味
- 左側に配置された中央に向かって内側を指すブラックの三角形:
- ブラックの三角形は、より広いアセクシャル(無性愛)のコミュニティという意味を表しています。また、黒色には「性的慕情の欠如」の意味もあります。
- ホワイト:
- アロセクシャル(他者に性的に惹かれるという性的指向)を意味する
- パープル:
- コミュニティを意味する
- グレー:
- デミセクシャルが属するより広いグレーセクシャル(人生でごくまれにしか性的欲求を感じない人・特定の条件下でのみ性的欲求を感じる人)コミュニティという意味
ポリアモリーフラッグ
ポリアモリー(Polyamory)は、ギリシャ語のpoly(複数)とラテン語のamory(愛)を合わせた言葉で日本語に直訳すると「複数愛」という意味です。
つまり、複数の人と同時に交際をしたり、恋愛関係を築いたりする人。また、そのようなライフスタイルを指します。
このようにご紹介すると、多くの人は浮気や不倫を想像されると思います。しかし、ポリアモリーは1つのセクシュアリティとして認知されているのです。
ポリアモリーと浮気・不倫との決定的な違いは、ポリアモリー当事者と関係する全ての人達の間で、このようなライフスタイルに対して合意が取れているということです。関係を持つ全ての人を裏切るような行動は決してしないということが、ポリアモリーの原則です。
尚、ポリアモリーフラッグに使用されている3色と1つのマークには、それぞれ次のような意味が込められています。
◎ポリアモリーフラッグに使用されている3色と1つのマークに込められている意味
- ブルー:
- パートナー達との誠実な関係性
- レッド:
- 愛や情熱
- ブラック:
- 社会的に抑圧されたポリアモリストの連帯
- ゴールドの「π(パイ)」のマーク:
- パートナーを無限に持つことができる、ポリアモリーのフラッグには、無限に続くという意味を持つ「π」がシンボルとして使用されています。また、ゴールドカラーには感情的なつながりという意味もあります。
ストレートアライフラッグ
ストレートアライとは、LGBTQ+当事者たちに共感し、寄り添いたいと考え、支援する異性愛者(ストレート)の人たちのことを指します。
セクシャルマイノリティである、LGBTQ+の当事者たちは、これまでに様々な差別や偏見にさらされてきました。
これからの未来を差別や偏見が無く、LGBTQ+当事者の人達も生きやすい社会にしていくためには、セクシャルマイノリティの人たちの側に立って味方し、支援する、ストレートアライの存在はとても重要です。
尚、ストレートアライフラッグに使用されている黒×白のストライプと、虹色のアルファベット「A」の組み合わせには、それぞれ次のような意味が込められています。
◎ストレートアライフラッグに使用されているブラック×ホワイトのストライプと、レインボーカラーのアルファベット「A」に込められている意味
- ブラック×ホワイトのストライプ:
- コミュニティをサポートするという意味
- レインボーカラーのアルファベット「A」:
- Ally(味方・仲間・同盟などの意味)の頭文字「A」をレインボーカラーにすることで、LGBTQ+全体の味方となりサポートをするという意味が込められています。
レインボーフラッグやプライドフラッグが発信するメッセージとその役割
レインボーフラッグや各種プライドフラッグには、全ての人間の尊厳と権利を尊重するべきだというメッセージが込められています。
性的指向や性自認に関わらず、誰もがありのままの自分として生きられる社会を目指すこと。そして、異なる背景を持つ人々が互いを理解し、支え合うことの重要性を訴えています。レインボーフラッグや各種プライドフラッグは、差別や偏見に立ち向かい、平等と公正を求める声を世界に発信する切っ掛けとなる、象徴的なアイテムとしてとても重要な役割を担っています。
現在、世界各国で、毎年6月に開催されているプライド月間の関連イベントでは、多くの企業や自治体がサポートの表明としてレインボーフラッグを掲げています。また、学校・職場・個人宅などでも、多様性への賛同やLGBTQ+の友人・家族への連帯を示すために使用されることがあります。
今や、レインボーフラッグは、単に特定のコミュニティのプライドフラッグという枠を超えて、すべての人々が尊重されるインクルーシブ社会を目指す普遍的なシンボルとしても欠かすことができない重要なアイテムなのです。
おわりに
レインボーフラッグをはじめとしたプライドフラッグは、私たちの社会における多様性の豊かさと、それを認め合うことの大切さを静かに、しかし力強く語りかけています。
日々の暮らしの中で、このページでご紹介したようなプライドフラッグを目にした際には、各旗に込められた人々の想いや物語に思いを馳せることで、フラッグが発信するメッセージを、今までよりも高い解像度で受け取ることができるようになるはずです。
レインボーフラッグをはじめとしたプライドフラッグを切っ掛けにして、私たち一人ひとりが、お互いの違いを尊重し、多様性を祝福できる社会について考えられるようになれば、あらゆる属性の人が自分らしくストレスフリーに生きることができる世界を実現することも決して夢ではありません。