神社のぼり旗の意味や由来・役割まで徹底解説

神社の境内に足を踏み入れたときに、旗が風になびいている光景を目にすることがあると思います。

このような「神社のぼり旗」は、神社を立派に見せるという装飾の効果だけではなく、そこには、古くから伝わる意味や、人々の神様への想いが込められているのです。

この記事では、神社の境内などに掲げられている、のぼり旗が持つ意味やその由来について掘り下げていきたいと思います。

神社のぼり旗の歴史・由来

赤い生地に白い文字が入った奉納のぼりのイメージ写真

のぼり旗の起源については諸説ありますが、古代から権威の象徴や目印として使われており、既に平安時代の末期の源氏と平氏の決戦「壇ノ浦の戦い」では、両者旗を揚げて戦っていたといわれています。

当時、使用されていた旗は「流れ旗」と呼ばれており、縦長の布の短辺部分に木に通して作られていました。形状は「のぼり旗」とほぼ同様で、配色は白か赤の単色でした。合戦で自軍を鼓舞・誇示するために使われていたとされています。

神社の祭礼においても、古くから神様を招く際の依代として、旗が用いられてきたといわれています。ただ、現在の手軽に立てられる奉納の証としての「のぼり旗」が広く普及したのは、比較的近年になってからだと言われています。

神社のぼり旗の意味と役割

紫・黄・緑・赤・白のカラフルな配色の神社のぼりのイメージ写真

神社に神社のぼり旗を掲げることで、神社にとって様々な良い効果が発生します。以下では神社にのぼり旗を設置することで生まれる、代表的なメリットの一部ご紹介いたします。

神様への目印・合図

前述した通り、旗は古くから神様を招くための依代・目印として用いられてきました。

祭礼の際に設置される神社のぼり旗は、神様に迎え入れる準備ができている旨を伝える合図のような役割を果たしています。

信仰心の表明・奉納

神社のぼり旗を奉納して掲揚することは、神様への深い信仰心・敬意・・願いの成就・感謝の表明となります。

近隣の氏子や参拝者などが、個人・団体名などを記して奉納することで、日頃の感謝や祈願に対するお礼の証になります。また、神社が修復・修繕費用、神事・お祭りの際の寄付などを受けた場合、その神社への奉納の証として名前や団体名などを入れた神社のぼり旗を掲げることもあります。

祭礼の賑わい創出

神社のぼり旗を装飾することで、祭礼に訪れる人々・運営する人々の気分を高揚させる効果があります。

また、神社のぼり旗で賑やかに装飾し、神様に喜んでもらうことで、より一層の利益を得られるとも考えられています。

情報伝達

神社名や祭礼名が記されたのぼり旗を掲げることで、参拝者や通行人に対して、神社の所在を知らせることができます。他にも、行事の告知をする道具などの情報伝達用の道具としても機能します。

神社のぼり旗に使用される生地の色や素材の特徴

赤い生地の神社のぼり旗のイメージ写真

神社のぼり旗は、主に縦長の布製で、上部に横木を通して立てられるのが一般的です。のぼり旗のサイズは種類や用途によって異なりますが、色については決められている神社のイメージカラーを使用することが大半です。

尚、赤色は神社の基本の色として認識されており、神社の格式を表す社格のなかで一番上の位である「正一位」のイメージカラーで、最も荘厳な色であるとされているため使用される頻度は高くなっています。

また、使用される生地については、屋外でも長期間使用できるように、丈夫な綿生地やポリエステル生地などが比較的多く採用されています。

神社のぼり旗の種類

神社で掲げられているのぼり旗は、主に3種類に分類されます。
ここからは、各々の神社のぼり旗の種類・意味・用途などについて、詳しくご紹介していこうと思います。

大幟(おおのぼり)

3パターンの大幟のイメージ画像

大幟は、神様を迎える「招代(おぎしろ)」として、春や秋の例大祭などの神事の際、神様に迷わずに降りてきてもらうための目印となる幟旗です。

そのため、神社の入り口付近に大きく目立つように掲げられます。神社によっては建物よりも遥かに高い大幟を掲げる場合もあります。

◎のぼり旗のサイズ
高さ:7尺(約2m)~12尺(約3.6m)程度
※高さ:30尺(約9m)を超える場合もあります。

祈願のぼり

3パターンの祈願のぼりのイメージ画像

祈願のぼりとは、個人・企業の祈願や御神徳を示す神社のぼり旗を指します。「祈願をした証」となる、のぼり旗を神様のそばに設置することで、「心霊の依代(よりしろ)」になるとされています。

祈願のぼりでは、赤色の生地に白い文字、もしくは白色の生地に赤い文字というように、「赤」や「白」が多く使用される傾向があります。神社で赤色が使われる理由としては「魔除け」、白色が使われる理由としては「穢れの無い神聖な色」の意味があるとされています。

◎のぼり旗のサイズ
縦180cm×横60cmが主流
※店頭や街かどで見かける一般的なのぼり旗と同等です。

奉納のぼり

3パターンの奉納のぼりのイメージ画像

奉納のぼりは、奉納を目的とするのぼり旗です。

のぼり旗には、神社・祀られている神様の名前や紋章、信仰されている神様の名前などの他、奉納をした個人・団体名前などが書かれており、神社の参道から境内まで至るところに設置されます。

奉納のぼりを設置することで威儀を正し、参拝者に神様への尊敬や信仰心を起こさせます。また、のぼり旗などの装飾を施し神社をにぎやかにすることで、神様が喜んでくださり、更なる利益を得られるとも考えられています。

しかし、のぼり旗を沢山設置するとなると、膨大な費用がかかってしまうため、大半の場合は参拝者や氏子にのぼり旗を奉納してもらっているのです。尚、奉納のぼりの中には参拝者が自作した旗が掲げられることもあります。ただし、神社によっては奉納のぼりの形や色などが細かく定められている場合があるので、事前に相談することが必要です。

奉納のぼりの配色は、祈願のぼり同様、魔除けの色である赤をはじめ、青・紺・紫・緑などが使われることもあります。文字の色には赤・黒・白が比較的多く使用されます 。

◎のぼり旗のサイズ
縦180cm×横60cmをはじめ、縦700cm~横70cmなど様々
※神社によってサイズが異なりますが、縦に長いものが比較的多い。
※参道に多数並べることを想定している場合は、横幅が短くスリムなのぼり旗が使用される場合があります。

神社のぼり旗の設置について

奉納のぼりが多数並んでいるイメージ画像

神社のぼり旗を設置する際は、大前提として、絶対に強風などで吹き飛んだり折れたりしないようにしっかりと固定をして管理するようにしましょう。

神社のぼり旗を設置する際には、万が一悪天候などの影響でのぼり旗が吹き飛んだり折れたりした場合、予期せぬ大事故が発生してしまう可能性がるということを肝に銘じておくことはとても大切です。

特に大幟の場合は、のぼりとポールの総重量が40~50kg程になる場合もあるため、のぼり旗の設置はより慎重に行う必要があります。

大幟を設置する際は、しっかりと地中に基礎を作り、ポールを固定する工事が必要になるので、専門の業者に依頼するようにしましょう。

尚、通常サイズの祈願のぼり・奉納のぼりに関しては、鉄製・石製・注水タイプの土台に設置することが可能ですが、こちらも大幟と同様に、万が一の大事故が発生しないようにしっかりと固定・管理をするように心掛けましょう。

ちなみに、屋外に設置をする神社のぼり旗は、夜間などで人が居ないときは、こまめに屋内に片づけることをオススメします。悪天候になりそうなときは、事前に屋内に片づけておけば、未然に事故を回避できるのはもちろん、常に屋外で雨風にさらされている神社のぼり旗よりも、こまめに屋内に片づけているのぼりの方が長持ちします。

おわりに

普段何気なく目にしている神社のぼり旗にも、実は様々な意味や様々な人達の思いが詰まっているということを少しでも知っていただくことで、今後神社でのぼり旗を見かけた際には、新たな視点でより身近に神社のぼり旗や神社の魅力に触れていただければ幸いです。

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