相撲のぼり旗の歴史・起源・意味・ルールなどの基礎知識をご紹介

国内外を問わず、多くのファンを抱えている大相撲。本場所や巡業の会場を彩る、色とりどりの大きなのぼり旗は相撲ファンにとってはお馴染みの光景だと思いますし、相撲に詳しくない方でも、どこかで写真や映像などを目にしたことがあるのではないでしょうか。

この大相撲特有の会場演出に欠かせない、色とりどりで鮮やかな色彩の相撲のぼり旗には、大相撲の長い歴史の中で、先人たちによって育まれてきた様々な想いや魂が込められています。

相撲文化に欠かせない、重要な道具の一つである相撲のぼり旗の歴史・起源・役割・ルールなどを紐解いていくことで、相撲とのぼり旗の新たな魅力を発見することができればと思います。

相撲のぼり旗の歴史と起源

二人の力士が相撲の取り組みをしているイメージ写真

のぼり旗そのものは、古くは戦国時代の武将が自軍を示すために用いたり、江戸時代のお祭りで使用するなど、昔から日本の文化と密接な関わりのある道具です。

一方で、相撲の歴史もとても古く、『日本書紀』によると、紀元前23年に、垂仁天皇の前で、大和国の當麻蹶速(たいまのけはや)と、出雲国の野見宿禰(のみのすくね)が、力比べをしたことが相撲の起源と言われています。

相撲でのぼり旗が使用されるようになった時期については、諸説ありますが、江戸時代には相撲は既に興行として発展しており、興行を盛り上げるために使われていたといわれています。

当時、相撲のぼり旗は「相撲旗」と呼ばれていました。特に寺社の本堂・橋・山門などの建設費・建て直し費用を捻出するために、京都・大阪・江戸を中心に全国各地で開催した、勧進相撲では、相撲旗が開催の目印となり会場を盛り上げていたといわれています。

現在でも相撲のぼり旗は、大相撲の巡業先の会場周辺に立ち並び、開催の宣伝告知とともに、大相撲ならではの独特な雰囲気を演出して、会場の雰囲気を盛り上げる重要な道具として活躍しています。

相撲のぼり旗の意味と役割

大相撲の会場に相撲のぼり旗が複数本掲げられているイメージ写真

大相撲の会場周辺に立ち並ぶ、色鮮やかな相撲のぼり旗は、相撲興行の会場を装飾して盛り上げて、会場の見印としても機能します。

また、それだけではなく、旗に力士や部屋・行司などの名前をブリントして、活躍・健闘を願う「縁起物」としても、重要な役割を担っています。

尚、それらの相撲のぼり旗には、後援者の企業・個人名も記載されており、力士・部屋・行司と後援者の絆を表明する象徴としても役立っています。

ちなみに、相撲のぼり旗は縁起物なので、一場所ごとに新調するため、使用済みの相撲のぼり旗は、暖簾やはんてんにリメイクされることもあります。

大相撲の巡業先で相撲のぼり旗を立てるためには許可が必要

行司の軍配のイメージ写真

日本相撲協会が主催する、大相撲の巡業地で相撲のぼり旗を立てるには、日本相撲協会の許可が必要です。

尚、相撲のぼり旗を作成する際も、日本相撲協会が公認した専門の染業者さんが作成しなくてはいけないという決まりがあります。現役力士さんの四股名(力士名)が入った、興行用の相撲のぼり旗は、日本相撲協会の許可を得た専門の染業者さんしか作成することができないのです。

大相撲の巡業先に設置する、相撲のぼり旗をスポンサーとして作成したいとお考えの方は、まずは日本相撲協会へお問い合わせください。


■公益財団法人日本相撲協会

https://www.sumo.or.jp/

大相撲の相撲のぼり旗の作成ルール

大相撲の会場に掲げられた複数の相撲のぼり旗のイメージ写真

大相撲の巡業先に設置されている相撲のぼり旗は、様々なルールに則って作られています。
ここからは、大相撲の興行で使用される、相撲のぼり旗製作のルールについて詳しく解説していこうと思います。

大相撲の相撲のぼり旗:サイズ

大相撲の相撲のぼり旗は、高さ5.4m、幅70cm〜90cmほどのサイズで製作され、竹棒とよばれる竹で作られたポールを使って設置されます。一般的に店舗などで目にするのぼり旗は高さ1.8mの場合が多いので、それと比較すると3倍の高さがあることになります。ちなみに、高さ5.4mというと2階建ての一軒家に相当する高さになります。

尚、相撲のぼり旗の高さは設置する場所の状況に合わせ臨機応変に調整します。たとえば、設置場所に電柱などの障害物がある場合は、3m程度の高さに変更される場合もあります。

色鮮やかでサイズも大きく、遠くからでも目立つ、相撲のぼり旗が複数立ち並ぶことで、会場の目印としての役割も果たします。

大相撲の相撲のぼり旗:色使い

大相撲の巡業先に設置する、相撲のぼり旗は、以下でご紹介する、相撲の勝負や精神に対する深い敬意を継承した、色使いのルールに則って作成されます。

◎大相撲の相撲のぼり旗作成:色使いのルール

黒色と白色
黒星(負け)と白星(勝ち)を連想させるので、四股名(力士名)には黒色と白色は使用しない。
水色と茶色
勝敗について「水を差す」「茶々を入れる」ことを避けるために、水色と茶色は使用しない。
赤色
企業が赤字にならないように、スポンサー名に赤色は使用しない。

大相撲の相撲のぼり旗:文字の配置と大きさ

相撲のぼり旗の印象を大きく左右する要素の一つである、文字の配置や大きさについても、大相撲の相撲のぼり旗を製作する際には、力士に対する細かい配慮や応援する気持ちが滲み出た、特別なルールが適用されます。

◎大相撲の相撲のぼり旗作成:文字の配置と大きさのルール

字の画数に応じて文字の大きさを調整することで、掲げられた相撲のぼりを下から見上げた際に、どの文字も同じサイズに見えるようにバランスを整えます。
相撲のぼり旗の上部に配置する文字は大き目のサイズに調整します。掲げられた相撲のぼりを下から見上げた際に、どの文字も均等に見えるようにバランスを整えるためです。
四股名の下書きでは、1文字70cm四方の升目が書かれます。この升目には、なるべく隙間が出ないように文字を書きます。相撲会場の見物席である桟敷(さじき)に見立てられた升目に、隙間が発生しない(=空席が発生しない)で満席になるようにという願いが込められています。
相撲のぼり旗に書く四股名は、やや右上がりになるように書きます。力士の成績が右肩上がりになるようにという願いが込められています。
相撲のぼり旗に書くスポンサーの名前は、力士の四股名よりも小さいサイズで書かれます。これには、スポンサーが力士に配慮するという意味が込められています。

大相撲の相撲のぼり旗:デザイン

大相撲興行用の相撲のぼり旗は、ある一定のルールに沿ってデザインを作成します。以下でご紹介するデザインのルールに則って作られた相撲のぼり旗は、各々で配色が異なる独自性を持ちながらも、デザインの基盤がしっかりと統一されているため、相撲のぼり旗が複数本立ち並んだ際にあの独特な雰囲気を醸し出すことができるのです。

◎大相撲の相撲のぼり旗作成:デザインのルール

大相撲の相撲のぼり旗では、のぼり旗の上部に四股名を、下部にはスポンサーの名前が書かれます。また、前項でも言及した通り、力士に遠慮するという意味を込めて、スポンサーの名前は四股名よりも小さく書かれます。
日本相撲協会からの注文により製作される相撲のぼり旗の場合、旗の上部には行司が持つうちわ形の道具である軍配の中心部に「贈」の一文字を入れた絵が描かれるという決まりがあります。
大相撲の相撲のぼり旗では、旗の右横部分に、わらびの新芽をモチーフとした「わらび熨斗」が描かれる場合があります。熨斗は本来「熨斗鮑(のしあわび)」と呼ばれており、神事の奉納の際などに用いられました。相撲は神事であるため、相撲のぼり旗には熨斗を描く場合があるのです。尚、熨斗は現代でも、贈り物などに添えられる飾りとして用いられています。

おわりに

古くから現在まで、国内外を問わず多くの人々に愛されてきた、相撲という日本を象徴する文化の大切な要素として、相撲のぼり旗は必要不可欠なアイテムです。

相撲のぼり旗は、単なる広告塔ではなく、のぼりを提供した後援者の、力士への熱い応援・活躍への期待・純粋な激励などの気持ちが込められています。長い歴史の中で育まれてきた、相撲のぼり旗の素晴らしい文化はこれからも後世に受け継がれていくはずです。

このページでご紹介してきたように、日本相撲協会が主催する、大相撲などの興行で使用する相撲のぼり旗は、協会公認の染業者さんでしか作ることができません。しかし、子供相撲大会やスポーツイベントなどで使用する、相撲をモチーフにしたのぼり旗であればそれ以外の業者さんでも作成することが可能です。

キラメックでも子供相撲大会・スポーツイベントなどで使用する、相撲のぼり旗のご注文を承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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